◆ 覚え書き ◆
薬学的管理について
2010年10月3日 最終更新.
ワーファリン処方量の4倍を調剤して男性(82歳)を死なす事件
- ワーファリンの規格は,0.5,1,5の3種類(単位:mg)ある
- ワーファリン1.5mgと処方されたところ,0.5と1ではなく,1と5で調剤
ワーファリンの投与量
- 1mg以上4mg未満がほとんど
- ただし,1mg未満や4mg以上もないわけではない
ワーファリン(ワルファリンカリウム)
- 出血傾向の有無.過量投与の兆候を見つける
- 歯茎から出血していませんか?
- 鼻血が出やすくありませんか?
- 肝障害:悪心,嘔吐,食欲不振,倦怠感,掻痒感,皮膚・眼球黄染,褐色尿
- 副作用は前もっての説明も重要
- 相互作用:作用増強,作用減弱,医薬品,食品
- 服薬状況:指示通りの服薬(複雑な飲み方の時もある.用法変わった時には注意),飲み忘れ時の対処(まとめて服用しないように),検査・手術・抜歯の確認(歯医者受診時,特に注意)
ハイリスク薬に関する薬学的管理および指導の充実
- 2010年4月より新設
- 薬局における患者に対する薬学的管理および指導を充実させるため,特に安全管理が必要な医薬品(ハイリスク薬)が処方された患者に対して,調剤時に関連副作用の有無等を確認するとともに,服用に際しての注意事項等について指導を行った場合の評価を新設する
- 薬剤服用歴管理指導料(処方箋の受付1回につき):30点
- 特に安全管理が必要な医薬品を調剤した場合であって,当該医薬品の服用に関し,その服用状況,副作用の有無等について患者に確認し,必要な薬学的管理および指導を行ったときには,所定点数に4点を加算する
- 特に安全管理が必要な医薬品:抗悪性腫瘍剤,免疫抑制剤,不整脈用剤,抗てんかん薬,血液凝固阻止剤,ジギタリス製剤,テオフィリン製剤,カリウム製剤(注射薬に限る),抗精神神経用剤,糖尿病用剤,膵臓ホルモン剤,抗HIV薬
薬剤管理指導料“2”の算定に関わる問題意識
- 算定要件:特に安全管理が必要な医薬品が投薬または注射されている患者に対して,これらの薬剤に関し,薬学的管理指導を行った場合
- 単にハイリスク薬が投与されているだけでは算定できない
- 当該ハイリスク薬に関わる副作用の早期発見や悪化の防止等を目的とした薬学的管理が必要であり,一部の医薬品に偏った薬学的管理をしている場合や継続した安全管理をしていない場合は,算定要件を満たしていないと考えられる
- 薬剤管理指導記録における記載も重要
- どのような症状や検査値等に着目して,当該ハイリスク薬に関わる薬学的管理指導を行ったか分からない場合が多い
ハイリスク薬とは
- 投与量等に注意が必要な医薬品
- 例.抗てんかん薬,向精神薬,ジギタリス製剤,糖尿病治療薬,テオフィリン製剤,抗悪性腫瘍剤,免疫抑制薬
- 休薬期間の設けられている医薬品や服用期間の管理が必要な医薬品
- 例.メトトレキサート,ティーエスワン,ゼローダ,ホリナート・テガフール・ウラシル療法薬
- 併用禁忌や多くの薬剤との相互作用に注意を要する医薬品
- 例.イトラコナゾール,ワルファリンカリウム
- 特定の疾病や妊婦等に禁忌である医薬品
- 例.ガチフロキサシン,リバビリン,エトレチナート
- 重篤な副作用回避のために,定期的な検査が必要な医薬品
- 例.チクロピジン,チアマゾール,ベンズブロマロン,ピオグリタゾン,アドルバスタチン
- 2010年の診療報酬改訂により定められた,薬剤管理指導料の“2”算定に関わる診療報酬上のハイリスク薬
- 薬剤管理指導料の“2”を算定する場合には,これらの指定されている薬剤を用いている患者に薬学的管理が実施された場合に算定する
血中濃度による作用
- ハイリスク薬は血中濃度によって作用を気にしなければならない薬
- 血中濃度が上がり過ぎる→過量投与時の症状発現
- 血中濃度が下がり過ぎる→望んだ効果が得られない
|